Global Archコラム
2019.12.20
◇ 学食は動線が命!調理する人にも使う人にもどちらにもやさしい設計で
「食から心を温かく」をモットーに。
学生食堂、社員食堂をプロデュースするグローバルアーチです。
私たちは食堂運営会社ですが、ソフト(調理人の派遣やメニューの考案など)だけではなく時にはハード、つまり飲食スペースや厨房の設計までやることがあるのです。
最近では埼玉県にある武蔵越生高等学校の学食を丸ごとプロデュースしました。短時間に多くの人が訪れる学生食堂。待ちに待ったランチタイムは学生にとっては至福の時間、調理人にとっては戦場でもあります。そんなお互いがストレスなく過ごせるように、あらゆる動きを想定して設計をしました。
POINT① 混雑回避の動線確保。一刻も早く何かを食べたい腹ペコ男子はここへ駆け込め!
学食ではがっつりと定食や麺類をオーダーするのが定番ですよね。でも食券を買って並んで…ああ、待ちきれない!何でもいいから早く食べたい!そう思っている学生諸君も少なからずいるはず。そんな彼らの需要を見越してか、多くの学食ではポテトや唐揚げなどの「ホットスナック」が販売されています。しかし、ホットスナック売り場へ駆け込みたい学生と定食に並ぶ学生、さらにはとりあえず席に向かう学生の動線がごちゃごちゃになっていたら学食は大混乱してしまいますよね。このような事態を回避するためにも、私たちは目的の違った学生達をスムーズに誘導できるようにそれぞれの動線を独立させました。
POINT② ぼっち食?いえいえ自立したリア充ランチです。集団席以外に個人席も用意
学食と言えば仲良しグループでわいわいと食べるもの。そう思っているあなたはもしや昭和の人間では?(古いと言っているわけではありませんよ)最近では小学校ですら「みんなちがってみんないい」ということで、休み時間や昼食時の過ごし方などに自由度が増しているようです。人と一緒じゃなくてもいい。学食でもその傾向は顕著に表れていて、一人で食べることを好む学生もたくさんいるそうです。そんな彼らのために一人用の席を用意しました。大きな声で談笑する学生、静かに本を読む(これも昭和?)学生、そのどちらも快適に過ごせる場所があることが今の学食には求められているのではないでしょうか。
POINT③ 炊飯器の位置に注目!作業のしやすい低い位置に設置しほかほかご飯をスピーディーに盛り付け
定食の肝、ほかほかご飯。考えただけでよだれがでちゃいますね。通常、学食の設計を大手の設計会社に依頼すると、調理人の動きを理解していないからかとてつもなく使い勝手の悪いプランを提案してくることがあるそうです。え、これがここに?あり得ない!みたいに。しかし私たちグローバルアーチには厨房内の動きを熟知した料理人が会社の中に何人もいます。厨房内の動き、調理器具のあるべき場所などが定石のように頭に入っているのです。中でも炊飯器の位置は重要です。サービスする人がスピーディーに盛れるようにカウンター近くに設置、さらに下部の引き出し式の台上にあるので、背の低い女性の調理人でも無理なくよそうことができるのです。
POINT④ 8の字に動ける!これぞ究極の無限大(∞)動線だ!
学食の厨房内、どうなっているかなんて細かいことはわかりませんよね。でも、何となくのイメージでは一般家庭ではみられないような大型の調理器具が所狭しとならんでいて、調理人はその隙間を縫うように移動している感じがしませんか。確かに限られたスペースに大きな調理器具を何台も設置するのは至難の業ですが、工夫次第ではびっくりするくらい動きやすい厨房となるのです。それは中央にある調理スペースの真ん中を“抜く”ということ。え、それだけ?と思うかもしれませんが、真ん中に動線を確保すると厨房内の動きが劇的に変わってくるのです。川に橋を架けるのと同じですね。ぐるりと回らなくては行けなかったところに最短で行ける!戻りやすい!そう、動線が8の字になったのです。これはかなりの効果が期待できますよ。
POINT⑤ 調理とサービスのゆるやかな住み分け。冷蔵庫は限りなく調理人の近くに
厨房内では大きく2つの仕事があります。それは調理とサービスです。サービスというのは盛り付けをしてカウンター越しに学生に食事を提供することですね。この2つの仕事をする人がゆるやかに住み分けられていることが理想の厨房なのです。特に冷蔵庫の位置は大事です。冷蔵庫は絶対に調理人の領域に設置すべきです。そんなの当たり前でしょ、と思うかもしれませんがサービスの領域に設置するプランを提案してくる設計会社も中にはいるのです。図を見てわかるように向かって右側が調理人の領域、左側がサービスの領域です。冷蔵庫は調理領域にありますね。万が一サービスの人が冷蔵庫を使う時も、真ん中に確保した動線でスムーズに行くことができます。作業効率が上がりそうですね。
以上、武蔵越生高等学校の学食設計に際してのポイントをお話しました。学食のメニューについては触れませんでしたが、私たちグローバルアーチは「このクオリティ、もはや学食レベルじゃない!」と驚かれるような味を学食で実現しています。
学食の導入、リニューアルをお考えの方は、是非私たちにご用命下さい